後頭部変形、筋緊張、立てない、歩けない2
続・発語と口周りの変化〜独歩獲得から発語まで
Kくんは、1歳6ヶ月の時、来院されました。当時の詳細は下記ブログを参照願います。
今回は、Kくんが2〜3才にかけて大きく変化した内容を記します。
続・発語と口周りの変化〜独歩獲得から発語まで
今回ご紹介するK君の、お喋り出来るようになるまでの経過が、前々記事のN君(「発語」につながる口周りの変化 N君 3才)と共通点が多くあります。貴重な内容なので、以下にその様子をご紹介します。
まず、調整開始当初から、歩行の獲得までの様子と、現況を記します。
調整開始当初の状況は「後頭部変形、筋緊張、立てない、歩けない」のブログに期しましたが、その後、18回目で、ほぼ独り歩きが出来るようになりました。
40回目辺りでは、歩行の安定、転びにくくなり、早歩きまで出来るようにもなりました。
しかし、まだ走りだす様子がないこと、数個の単語を言えるだけで、二語文にならない、発語の向上が見られない等、停滞している様な状態が続いていました。
でも、立位での筋骨格状態は更に変化している様子が見られており、特に「口周りの変化」が見られ始めたころ、発声そのものの数が増えてきました。
「口周りの変化」とは、赤ちゃん唇(縦長で、左右に短い)から、大人唇(横長)への変化を言います。喋れなかった赤ちゃんが、この変化後、喋れるようになったという多くの臨床例があります。
そして、50回を過ぎた辺りから、二語文以上のおしゃべりが急激に増え始めました。
56回目の現段階では、調整中ずっとお喋りしっぱなしで、私達も、あまりの変化の速さに驚かされました。
同時に小走りから、ほぼ走っていると言ってもいいほど、動きも向上しました。
まだ滑舌が良くないため、何と言ってるのか分かりにくい部分が多いですが、今後の調整で更に向上していくものと思われます。
以下、K君、U君の発語に関する口周りの変化について、二名の共通点を記します。
二人の共通点
1、マス目検査では、頭が首の真上になく、前方に位置している
2、後頭部が短く、顔面下部・頬から下が長くなってしまうような下ぶくれ、垂み
3、泣く時や笑う時など、下顎の横ズレが大きい、目立つ
4、生理的湾曲の逆カーブ
5、口周りの変化
1、について
頭部の歪みにより、マス目の頭部中心が本来あるべき位置からズレてしまうことと、
首以下の骨格も頭部を首の真上に置くことが出来ない身体状態にある
2、について
1との関連で、頭部がぶら下がったナスビの様な状態に置かれることで、頬口周りの筋肉が活性化し難い状態となる
3、について
首(頸部後ろ)の過緊張により、前側の喉周辺は弛緩傾向、とアンバランスな状態から、下顎に不安定な状態が起きることが考えられる
4、について
生理的湾曲が逆カーブになってしまうと、ストレートネック状態になってしまうため、頭蓋骨を支える頸椎1番が前方に押された形になり、下顎関節部も押し出される。
5、について
赤ちゃん唇(縦長で、左右に短い)から、大人唇(横長)への変化
これら特徴は、外見上明らかな場合と、見た目では、全く分からない場合とがあります。
定型発達の子の場合、この年齢では下顎はまだ小さく、首の真上に頭部全体が丸く乗っています。こうした事から、下顎が成長途中の幼児の場合、ほぼ後者に見えます。
前者は下顎成長が急激に進み始める小学生以上に多く見られます。また、頭部前出に見えない場合でも、首から下の背骨に代償負担をさせていることがほとんどで、このことが側湾症や、不良姿勢、骨格全体の歪みの根本原因と推測されます。
1〜5の状態が調整により、頭部中心が整いながら、背骨の生理的湾曲が発生してくると、結果的に頬や口周りの筋肉が活性化していき、発声、滑舌へ、大きく影響していくことが考えられます。
また、K君の場合、短期間ではありますが、保育園に行けたことによる周辺環境の影響が、急激な発語向上の起爆材になった可能性が大きいと考えられます。
肉体的準備が整ってきていても、周辺環境の影響は非常に大きく、特に精神発達の面において、同じような背格好、同世代との対人コミュニケーションは健やかな成長に欠かせない要素となります。
現在調整中のお子さんの中にも、同様の状態で調整の経過も二人と同様の方向へ進んでいる子が複数いるので、引き続き今後の経過を観察していきます。
発語の獲得に関しては、解明されていないことの方が多く、筋骨格系だけで全て解決するものではありません。実際、どこまでがマス目の歪みの影響なのかは不明ですが、骨格細分化調整により、変化していく子供達を見ていると、筋骨格系が与える発語、精神発達への影響は多大なものであると考えられます。